ミライ先生の日直日誌

~Ms.Mirai's Day Duty Journal~

ポケモン小説『白黒遊戯2』その後の英雄

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2人の英雄の決着がついた。
黒の理想を打ち破ったのは白い真実。
ポケモンと人間の世界は守られた。

 

青年は黒き英雄とともに去った。
必ずイッシュに戻ってくることを少女に誓って。
それまで少女は白き英雄が守ってくれるだろう。

 

敵対しながらも惹かれ合った2人
ハルモニアの青年とピースメーカーの少女は
まるでロミオとジュリエットのよう。

 

2人は争ったものの最終的には分かりあえた。
真実と理想を求め仲違いした双子の英雄の子孫だが
再び1つになる日はそう遠くないのかもしれない。


***


「ノエルとチェレン……大丈夫かな……?」

 

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 カノコタウンでは3人の女性がノエルとチェレンの帰りを待っていた。1人は2人の幼馴染であるベル。もう1人はベルと仲が良い夢の研究家、マコモ博士。残りの1人……マコモの先輩でありノエルの保護者でもあるアララギ博士は研究所の中にいた。

 アララギ博士はベルに中で待つように言ったが彼女は頑なに断った。研究所の中にいても落ち着かないのだ。ベルはノエルとチェレンを待ち切れなかった。少しでも早く幼馴染に会いたくて外で待つことにしたのだ。マコモはそんな彼女に付き合っている。アララギ博士も無理に2人を引き止めなかった。

「まだかなあ……」

 ベルはしゃがんで地面を見つめていた。己の無力さにもどかしさを感じながら。ベルは悩んだ。本当は自分もノエルとチェレンとともに戦うべきだっただろうか。自分の考えにベルは首を横にふった。彼女がいても足手まといになるだけだ。それに彼女自身気付いていないが彼女は戦うには優しすぎる。マコモはそんなベルを理解し静かに見守った。

「ベルーーー!マコモ博士ーーー!」

 

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 ベルは大好きな人の声が聞こえた気がした。彼女は顔を上げた。

 

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 ベルとマコモに向かって歩いてきたのは2人のトレーナーだった。委員長みたいな少年に活動的な少女。ベルが何時間も待ち望んだ光景だ。

「ただいま~~!待たせてごめんね~~~!ちょっと手こずっちゃって~~~」

 何事もなかったように振る舞う2人にベルとマコモは驚いた。無事に帰ってきた幼馴染を見てベルは泣きそうになった。

「ノエル……チェレーーーン!!」

 子どもでもいい。みっともなくてもいい。泣き虫と言われたっていい。ベルは泣きながらノエルに飛びついた。

 

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「うわああああああああああん!!無事でよかったよお……!」
「アハハハ。ごめ~ん。また遅刻しちゃった~♪」
「まったく……。君が遅いのはいつものことだろう?メンドーなやつだなぁ……」

 3人で談笑していると研究所の扉が開いた。アララギ博士だ。

「お茶入れたんだけど飲む?」

 マコモアララギ博士の横で笑っていた。普段家事をしないアララギ博士がお茶を入れたのだ。めずらしく気の利いたアララギ博士マコモはクスッと笑う。ノエルは口をにんまりさせた。

「え~~?博士がお茶入れたんですか~?地震が起こりそうです~」
「ベルはまだお茶入れてないから大丈夫だよ!」

 ベルはフォローになってないフォローを入れた。チェレンは苦笑しながらノエルに言った。

「……というか君は地震よりすごいものを食い止めたばかりじゃないか、ノエル」
「テヘッ☆」

 博士と図鑑所有者たちは久しぶりの再会に喜んでいた。アララギ博士も嬉しかった。ようやく図鑑所有者たちはポケモンリーグが占領されるまえの3人に戻ったのだ。

 

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「おかえりなさい」

 アララギ博士は優しく笑う。

「ベルとチェレンの両親に連絡しなくちゃ。今夜はパーティよ!ピザでも頼む?」
「「さんせ~い!」」

 迷わず手を上げたノエルとベルにチェレンは呆れてしまった。

「おいおい……。さっきまでプラズマ団と戦ってたんだぞ?ベルはともかくノエルは疲れてないのかい?」
「パーティって聞いたら疲れなんて吹っ飛んじゃった☆」
「新陳代謝が活発な君がうらやましいよ。…………シーフードがいいな」

 パーティに乗り気じゃないのにちゃっかり食べたいピザの味を言うところがチェレンらしい。

「じゃああたしペペローニ!」
「ベルはハワイアーン!」
「はいはい……わかったわ。マコモ……注文してくれる?わたしは両親に電話するから」
「はい!先輩!」

 こうして大人たちはノリで決まったパーティの準備にさっそくかかった。アララギ博士マコモは研究所に入って行った。アララギ博士はテレビ電話でベルとチェレンの両親に話すため、マコモはピザのチラシと受話器を探しに。イッシュの平和は守られたのだ。ポケモンたちもトレーナーとピザを食べるのを楽しみにしていた。


***


 時は遡る。これはチェレンアデクゲーチスがパトカーで移動するのを見届けたあとのことだ。Nがイッシュ地方を去り、チェレンがノエルを迎えに来る直前に起こった出来事だ。ところどころ崩壊したNの城で、ある男がライブキャスターで何者かに連絡をしようとしていた。

―RRRRRRRRR.RRRRRRRRR.

 ライブキャスターから着信音がなる。男は影にいるから顔は見えない。音が止み、相手と通じたのがわかると男は報告を始めた。

「もしもし。こちらシュバーツ。…………はい。エラーは去ったようです。途中で邪魔が入りましたが第1段階はなんとかクリアしました」

 男の声はまだ若い。声変わりしたばかりのようだ。背もまだ伸びる余地がある。男は周り人がいないか気をつけながら王の部屋を覗いた。そこにはノエル1人しかいなかった。

「想定外のことが起きましたが問題ありません。修正可能の範囲です」

 会話の相手が話しているのだろうか。男はしばらく黙ったままだった。だがまた男がしゃべる番となり男の顔がどんどん歪んでいった。

「……はい。……はい。そのとおりです。全て計画通りです」

 男は歩きだした。影から男の顔が浮かび上がる。

 

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 ライブキャスターで話していたのは邪悪な顔をしたチェレンだった……。

 一方、チェレンの話し相手もどこかの建物でほくそ笑んでいた。…………女だ。薄暗い部屋で唯一光っているのは彼女のライブキャスターだけだった。

「……そう。それはよかったわ」

  頬杖しながら机の前に座る女はため息をついた。

「もう……。エラーが現れたときはどうしようかと思ったわよ。予測不可能でちょっぴりスリリングだったけど」

 女は頬杖をやめて手で顎を支えた。

「それじゃあオペレーション・ブラックホワイト、第2段階へ移りましょうか」

 

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 アララギ博士は自室で笑った。そばにいたチラーミィはぐふぐふ笑っていた。


***


 とある地方。とある草むら。とある少年は草むらの上で寝っ転がっていた。上にはどの地方のポケモン図鑑にも登録されていない見たことのないポケモンが浮いている。

 

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「お姉ちゃん……」

 すがるような声は風によってかき消されてしまう。それでも少年は姉を呼ぶのをやめなかった。


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「お姉ちゃん……どこにいるの……?」

 少年は虚ろな目で空を見た。ポケモンは飛ぶのをやめて少年の顔を覗き込む。野球帽を被り、青いトレーナーと灰色の長ズボンに身を包んだ少年の顔はノエルと瓜二つだった。

 

白黒遊戯 ~第2章 白き翼~ 完

 

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