ミライ先生の日直日誌

~Ms.Mirai's Day Duty Journal~

ポケモン小説『海のプラチナ』第19.5話 金髪くせっけ少年 2

 市役所を出てオレは上機嫌だった。レストランの損害は全部コウキに弁償してもらったしポケ免も手に入れられた。これで安心して旅を続けられる。もらったばかりのポケ免を空にかざしてみた。赤いカードは夕焼けと同じ色だ。カードにはオレの写真にIDと名前、誕生日と出身地、そしてトレーナーになった日が書かれていた。角度を変えてポケ免の色が変わるのを楽しんでいるとコウキはため息をついた。

「なんだよ?」
「発行してもらったばかりなのにそんなことしているとなくすよ」

 さっきまで感じていたワクワクは一瞬でなくなった。こいつマジムカつくな。ヒカリと話してるときと全然ちがうじゃねーか。

「ポケ免の別名はトレーナーカード。身分証明書として使えるから大事にしなよ」
「へいへい」

 オレはしぶしぶカードをサイフにしまった。こいつさめてるな。

「なあ、ポケモンって状態異常になることあるよな」
「とつぜんなに?そんなことも知らないの?」

 あ~~~~~。こいつなぐりて~~~~~!ガマンだ、ガマン。こんなやつに頼りたくないけどヒカリにほめられるためだ…。

「ただ確かめてるだけだよ。たしか6種類あって毒、マヒ、やけど、ねむり、氷、こんらんだよな?」

 ノートに書いたことを思い出しながら言った。毒とやけどは時間がたつたびにダメージを受けて、マヒはすばやさが下がって体がたまに動かなくなる。ねむり状態はポケモンが起きるまで動けなくなって、氷状態も氷がとけないかぎり動けない。こんらんはポケモンがたまに相手ではなく自分を攻撃しちまう。ねむり、氷、こんらんは時間がたてば自然に治るけどどの状態異常もやっかいだ。

「そうだよ」

 コウキはオレに見向きもせずに答えた。かわいげのねーやつだな。ヒカリのかわいさをわけてやりたいくらいだ。あ、でもそしたらヒカリのかわいさがなくなるからやっぱいいや。

「じゃあ相手のポケモンに毒を与えてマヒさせてねむらせて、さらにこおらせたうえにこんらん状態にしちまえば一気に有利になるんじゃね?」

 こうすれば相手のポケモンなにもできなくなるじゃん!オレって天才!これでコウキのやつも少しはオレのかしこさを認めて……。

「なんてことを言うんだ!!君ポケモンを殺す気?!」
「ひっ」

 市役所を出てからコウキは初めてオレをまっすぐ見た。それも怒鳴りながら。…そこまで怒ることねーじゃん。オレなんかまちがえたか?

「第一ポケモンの状態異常は重ならない!混乱を除いてね。相手のポケモンをマヒさせたら毒も火傷も眠りも氷も受け付けないよ。ポケモンはぼくたち人間より体が丈夫だから。一度状態異常になったら他の状態異常にならないように体の免疫力が高まるんだ。いわゆる生存本能だね」
「へ、へー」

 やべー…。コウキの言ってること半分しかわからねー!めんえきりょく?せいぞんほんのう?なんだそりゃ。

「念のために言っておくけど免疫力は体に悪いものを追い出す力だよ。生存は生きるということ。本能は生まれつき持っている行動パターンと能力のようなもの。つまり生存本能は生きるために無意識に体が反応する力ってこと。言ってることわかる?」

 うっ……。まるで心を読まれてるみたいだ……。

「そ、そんなこととっくに知ってらあ!」
「そう。ならいいけど」

 やっぱりこいつムカつく。強がってみたけどバレてないよな?

「ここらへんでは204番道路に生息するスボミーが毒をもっているよ。気をつけてね」
「あ、ああ……」

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 おっ。注意してくれた。さっきまで生意気だったから調子くるうな。意外とやさしいところあるじゃん。ヒカリにはいつもやさしいけど。

「あと状態異常に似ている症状もあるよ。ゴーストポケモンの使う『のろい』という技はHPを徐々に減らしていくよ。メスがオスに、オスがメスに使う『メロメロ』でポケモンをメロメロにされると相手を攻撃したがらないんだ」

 そんなのもあるのかよ。やっかいだな…。

「勢いのある技を喰らうとひるんで反撃できなくなることもある。『噛みつく』とか『踏みつけ』とかがそうだね。あと草ポケモンの使う『やどりぎのたね』は相手のHPを少しづつ吸い取って自分のHPを回復できるよ。君のナエトルもそのうち覚えるんじゃない」
「べんりだな」
「これらの効果は状態異常と違って重ねることができるよ」

 ポケモンって奥が深いなー………ん?あれ?そういえばコウキのヒコザルはどうやってあの強そうなルクシオをやっつけたんだ?

「おいコウキ!どうしてヒコザルルクシオに勝てたんだ?ルクシオのほうが強そうだったぞ!」

 コウキはやれやれ、といった感じで腕を動かした。もったいぶってねーでさっさと教えろ!

「確かにルクシオは一度進化したポケモンだからヒコザルより全体的に能力が高いね。特性がなかったら負けてたよ」
「とくせい?」

 とくせいって……ヒカリの特製クッキー☆のとくせいか?あいつの手作りお菓子うまいんだよなー。オレも昨日マフィンもらっときゃよかった。

「特性はそれぞれのポケモンに生まれつき備わった性質や体質。人間でいうとアレルギーや寒がりやのようなものかな。同じポケモンでも違う特性を持っていることがあるよ」

 イマイチよくわかんねーな。その『とくせい』とやらのおかげでヒコザルルクシオをやっつけたのか?

ヒコザルの特製は?」
「[猛火]だよ。HPが3分の1以下になると炎タイプの技が1.5倍強くなるんだ。だからヒコザルの威力の上がった『火の粉』を喰らってルクシオは逃げ出したんだ。火傷も負っていたしね」

 そうだったのか!特製ってすごいんだな!ヒカリのクッキーの特製は『おいしい』か!特製の話が終わったところで1つ目の十字路にさしかかった。たしかトレーナーズスクールに行くには2つ目の十字路で曲がるんだよな。横にあるテレビコトブキのニュースが騒がしい。

ポッチャマの[激流]とナエトルの[新緑」も同じような効果だよ。危なくなったら自分と同じタイプの技が強くなる。ピンチになると馬鹿力を発揮するなんてまさに生きものの生存本能だよ!だから有名な博士はこれらの特性を持つポケモンを研究してるんだ。ポケモンの進化と関係しているからね」

 やべ……話がむずかしくなってきたからあくびしちまった。気づかれてねーよな?

「だからナナカマド博士からもらったポケモンの成長過程の観察を頼まれたということは非常に名誉なことであり……」

 コウキの話を無視していたらあるものが目に入った。テレビコトブキの横にある一軒のお店。ヒカリの好きなハロースキティの店のとなりにおもちゃ屋さんがあった。そのおもちゃ屋さんのディスプレーに置いてある白いトゲトゲつきの青色バンド。あれはまさか……!

「……どういう運命の巡り合わせか、ぼくはヒカリさんという天使に……」
「やっべー!これマキシマム仮面のマスクじゃねーか!マックス!マックス!マキシマム!まえからほしかったんだよなー」

 マキシマム仮面は有名な全勝無敗の最強のプロレスラーだ。おまけに地方で8人しかいないジムリーダーの1人で水ポケモンのエキスパートだ。対人戦でも強くてポケモンバトルでも強いなんてあこがれるぜ!マキシマム仮面はオレがダディの次に尊敬する男だ。

 オレはディスプレーの窓に張りついた。ほかの商品なんて目に入らない。オレが今1番ほしいのはマキマム仮面のマスクだ!!当然オレは気になる値段を見た。

「なんだってんだよー!たけーっ!」

 お目当ての仮面は8,000円以上はした。肩ががっくり下がる。オレのこづかい現在5000円以下。足りねー……。オレのテンションはいきなりミニマムになった。さっきまではマキシマムだったのに……。

「コウキ~」

 オレはワラにもすがる気持ちでコウキを見た。ここはスーパー金持ちのコウキに頼むしかない。

「駄目。今日は罰金払ったばっかりだよ。あの大騒動のあとなのによくぼくにおねだりできるね」

 頭からタライが落ちてきたみたいにうなだれた。今の一撃は効いたぜ……!

「そ、そこをなんとかコウキ様~」
「なに様づけしてるの?きもちわるいよ」

 やっぱこいつムカつく…!

「まあいいや。お金貸してあげるよ。今回だけ」

 え?マジ!?

「コウキー!サンキュー!!」
「ギャーーー!!」

 気がついたらオレはコウキをだきしめていた。つい反射神経でたまにだきしめちゃうんだよな。で、なぜかたいていの相手はいやがる。ダディにハッグはいいことだと教わったのに。

「おまえは実はいいやつだと心の奥で信じていたぞー!」
「やめてよ!気持ち悪いだろ!……周りから勘違いされるからやめろ!」

 コウキがいやがってたから腕をほどいた。言われなくたってもうだきしめねーよ。もうちょっとソフトな言いかたねーのかよ。

「そのかわりそのうちお金返してね。弁償金500万円も含めて」
「うっ……」

 やっぱこいつかわいくねーーーー!!金借りるオレもわるいけどさ……。あ~~~~でもマキシマム仮面のマスクほしー!

「あ、ああ。いいぜ。なんたってオレはポケモンチャンピオンになる男だからな!」
「利子つけていい?」

 りし?

「もちろんだ!」

 オレは自分の胸をたたいた。…………ところで『りし』ってなんだろ。あとでヒカリに訊いておこう。

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 店に入って数分後。オレは口笛をふきながら店を出た。トレーナーズクールに帰るまで待ちきれなかったからさっそくマキマム仮面のマスクをつけてみた。ディスプレイに写る自分の姿に満足しながらオレはコウキにたずねた。

「どうだ?似合うか?」
「似合うんじゃない?髪の毛がはねてなければね」

 むっ。一言多いな……。オレはもう一度ディスプレイを見た。たしかにはねてるけど…これはこれでありじゃないのか?

「そんなこと言われてもくしなんて持ってないし……」
「貸そうか?」
「いや、いいよ」

 オレは指をからめて頭のうしろにそえた。やっぱこいつわるいやつじゃねーな。こいつの25%はやさしさでできてると思う。
 一つ目の十字路の信号を待っているあいだにテレビコトブキのニュースが聞こえてきた。

『釣りでポケモンを捕まえるトレーナーたちを紹介するこのコーナー。今回もゲストに釣り達人をお迎えしております』
『ウム!』

 男の司会と釣り達人のジジィが話している声がする。でもオレは釣りなんて興味なかったからこのニュースは聞き流すつもりだった。

『さて達人!今回は釣りに初めて挑戦する新人トレーナー、ヒカリさんの釣りについてですが……』
「ヒカリ!?」
「ヒカリさん!?」

 コウキと同じタイミングでテレビコトブキのほうへ首を動かした。遠めでもヒカリがスクリーンの中で知らない釣り人と一緒に釣りをしているのが見えた。なんでヒカリがテレビに映ってるんだ?!

『どうやらぼろい釣竿で見事コイキングを釣り上げたようです!』
『ウム!』

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『では達人!ヒカリさんの竿さばき!ズバリ何点でしょうか!?』
『ウム!初心者にしてはやりおる。竿を振るなやましい腰つき……文句なしの100点!』
『出ました!100点!おめでとう!ヒカリさん!それではまた次回!さようならー!』

 ポカーンとしていた。おうだん歩道と向き直ったら信号が青から赤へかわった。歩道をわたりそこねたことはあまり気にしていない。ヒカリすげーな。テレビに映るなんて。フタバタウンのみんなが見たらこうふんするぞ。オレもテレビに映りてーなー…。

「ああ……ヒカリさん!あなたはどこまで素敵なんですか?初めての釣りに一発で成功するなんて!彼女ならヒッポカンポスも釣れそうです!否、彼女なら……彼女だからこそ釣れるのです!ヒカリさんならたとえポセイドンの起こす水害に巻き込まれたとしても彼の守護により助かるでしょう!」

 さっきからコウキが話してばかりなのにこんな長ったらしい話を聞かされたらたまんねー!!ヒカリに酔っているこいつをほっといて信号が赤のうちにわたろうとしたら悲鳴が聞こえた。

「!?」

 今の声は……!

「おいコウキ!」
「彼女はアフロディーテアテネ、ヘラを始めとする古の神々に愛されているのですから!」

 ダメだ。暴走していて聞こえてない。オレは悲鳴があった場所へ走った。

「それにしてもなんて美しいヒップでしょう!ああ、愛しのヒカリさんに服をプレゼントするために彼女のスリーサイズが知りたい……!」

 うしろからコウキの声が聞こえる。あのヤローまだ暴走してやがる。この役立たず!悲鳴はテレビコトブキの近くから聞こえてきた。たぶんヒカリの声だ。ヒカリじゃなくても助けてやるけど一体なにが起きたんだ?

『こんにちは、シンオウニュースネットです。シンオウニュースネットでは色んな場所に特派員を派遣してニュースを集めてイマス…』

 テレビコトブキの近くに来たけどいない。どこにいるんだ?ヒカリ……!

ナエトル!」

 ボールを投げてナエトルを出した。1人で探すと時間がかかる。

「ル~」

 いつものようにナエトルはのんきに出てきた。だけど説明する時間はない。

「ヒカリを探すのを手伝ってくれ!」
「ルー!」

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 たれていた目がキリッとなった。たまにはいい目つきするじゃねーか。

「ヒカリー!」
「ルーー!」

 手をメガフォンみたいな形にして呼んでも返事がない。周りからは変な目で見られている。でもそんなことどうだっていい。いったいどこにいるんだ?ヒカリ。

「ルー!」

 ナエトルにズボンのすそをひっぱられた。ヒカリを見つけたのか?!ナエトルのあとをついていくとテレビコトブキと本屋の間にある人気のない道があった。ダサいかっこうをしたおっさんのうしろ姿が見える。

「ヒカリじゃねーじゃん!ただのおっさんじゃん!」
「ルー!」

 ナエトルは首を横にふった。テレビコトブキの角に隠れながら様子をうかがった。よく見たらおっさんのマタから誰かが座り込んでいるのが見える。

「ボクは202番道路からずぅ~~っとヒカリちゃんを見ていたんだよ~。よ~く映ってたでしょ~?ビデオはテレビコトブキに売ったんだ。ヒカリちゃんのことをみんなに知ってもらうために」

 ヒカリはそこにいる。オレは確信した。おっさんの言葉に歯をくいしばる。こいつすんげームカつく。きっとヒカリのやつこわくて動けないんだ。

「ポチャ~!」

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 ヒカリのバッグから閃光が走り、ナポレオンが出てきた。ナポレオンが警戒するほど危ないおっさんなんだな。でもあんなチビじゃおっさんと戦えない。

「ふふふふふ。ヒカリちゃ~ん♪…………愛してるよぉーーーっ♡」
「キャーーー!!」

 オレは早口でナエトルに『はっぱカッター』を命じた。3枚のはっぱがおっさんの足元につきささる。おっさんの動きが止まった。5秒後におっさんはみにくい顔でふりかえった。ブサイクに怒った顔はグラサンしてても隠しきれない。

「……ボクの邪魔をするやつは誰だ?!」

 風の流れが変わった。まえから左へ吹いてきた。

「オレの名は………マキシマム仮面ジュニア…」

 風が強くなり、オレのスカーフがいい感じに左へ流れた。やべー。今のオレ、最高にカッコイイかも!

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「ジュ…」
マキシマム仮面だと…?ごっこ遊びはよそでやれ!」

 ヒカリがなにか言いかけたけど中断された。おっさんはオレに向かってとっしんしてきた。怒ってるおっさんの動きは単純だ。くわえてオレのスピードもありおっさんの攻撃はカンタンによけられた。

カポエラーキーーーック!」

 オレは回転しながら足を交互に入れ替えておっさんの横っ腹にキックを三回おみまいしてやった。

「ぐはっ」

 地面に倒れたおっさんをオレが見逃すはずがなかった。ナエトルを踏み台にしてオレはジャンプした。

「喰らえーーーッ!必殺!サワムラープレスぅう!!」
「ぐぎゃーーーっ!!」

 おっさんの背中に覆いかぶさりプレスを喰らわせた。

「ワン!ツー!スリーッ!!」

 頭の中でゴングが鳴った。おっさんは口から泡をふいている。この勝負、オレの勝ちだ!オレは勝利のガッツポーズをした。

「やったー☆このファイト、オレの初勝利に終わったぁーー!」
「ルー♪」

 ナエトルにお祝いされた。そういばヒカリを助けられたのもナエトルのおかげだな。オレはナエトルの背中を高速でなでるとヒカリの元へ駆けよった。

「ヒカリ!大丈夫か?!」

 ヒカリとナポレオンはぽけーっと座っていた。おいおい大丈夫かよ?

「大丈夫だけど……ジュン、そのマスクは?」

 あれ?オレがマキシマム仮面Jr.じゃないってことバレてる?

「ああ。これお店で買ったんだ。かっこいいだろ?」

 オレはヒカリのまえであぐらをかいて目線を同じにした。

「おまえが無事でよかった!」

 歯を見せておもいっきり笑うとヒカリは身震いした。よっぽどストーカーのおっさんがこわかったんだな。

「前回は守れなかったけど、今回はちゃんと守れたぞ!」

 ヒカリはふるえながら片目の涙をふいたあと笑った。

「助けてくれてありがとう、ジュン」

 背中が軽くなった。バッグは肩にかけたままなのに。よかった。ヒカリの笑顔を守れてよかった……。

「おい!君たち!なにをやっているんだ?!」

 安心していたら茶色いコートを着た気難しい顔をしたおじさんがやってきた。数時間前スカイビルでオレを逮捕しようとしたけいさつだ!

「あっ!ハンサムさん」

 ヒカリは立ち上がった。説明はヒカリに任せるか。

「なにかあったのかね?」
「はい。さっきストーカーに襲われたんですけど…」
「なに!?ストーカー!怪しいやつだな!」
「はい。ここで倒れているのが…」
「逮捕する!」

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 けいさつかんのハンサムはコートのポケットから手錠を取り出した。オレが撃退したストーカーをつかまえると思ったらところがどっこい!ハンサムが手錠をかけたのはオレの手首だった。

「なんだってんだよー!」

 なんでオレが逮捕されるんだよ!オレわるいやつやっつけたのに!

「さきほど噴水の近くでマスクをつけた怪しいやつがヒカリくんの名前を呼びながらさまよっていたという報告があった。貴様のことだな?署まで連行する!」
「無実だーーー!」

 なんだってんだよー!マキシマム仮面のマスクかっこいいじゃん!あやしくねーだろ!

「違うんです!ハンサムさん。私を襲ったのはあそこで倒れているおじさんです」

 ヒカリはハンサムにオレが倒したおっさんのほうへ目を向けさせた。ふう。助かったぜ!なんかコウキがヒカリを天使って呼ぶ気持ちが少しわかった気がする。どんな状況でもヒカリはオレの味方でいてくれる。今日は2回も無実を証明してくれた。

「おじさん!オレだよ、オレ!」

 念のためにマスクを取った。ヒカリはオレだってすぐわかったけどこのおじさんどこか抜けているからな。

「なんだ?オレオレ詐欺には騙されないぞ……って君は?!」

 おじさんはコートをひるがえした。なんかおどろいてるけどまさか……。

「さっきのお騒がせ少年じゃないか!今回は別の意味で騒がせてくれたな」

 オレは鼻から息を出した。わるかったな、お騒がせ少年で。

「ジュンがストーカーをやっつけてくれたんです」

 ヒカリがフォローしてくれた。ヒカリはRPGだと絶対白魔導師だな。味方のサポートにまわってくれる大切な存在。

「うむ。よくやったぞ!少年!」
「それはいいんだけどさー…」

 オレは右手を挙げた。金属のこすれあう音が聞こえる。

「この手錠、外してくんねーか?」
「あ……」

 ヒカリは声をもらした。オレ、こんな変なおじさんとトレーナーズスクールで寝泊りしたくねーぞ。

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