ミライ先生の日直日誌

~Ms.Mirai's Day Duty Journal~

ポケモン小説『白黒遊戯』第7話 ホットな男

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「うおおおおおおおっ!愛してるうううううううううううううっ!!」

 サンヨウジムに雄叫びが響く。ジムリーダーの1人、ポッドは戦いもまだ始まっていないのに熱くなっていた。ツタージャも相手が気に入らないのかカッカッしている。試合コートの外側にいる他の2人のジムリーダーはニコニコ見守っている。ノエルは対戦相手を見てため息をついた。

「どうしてこんなことになったんだろ……」

 

***

 

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 おいしい匂いに誘われてたどり着いたのは高そうなレストラン。ノエルとツタージャはなぜかウェーターとウェートレスに戦いを挑まれ、勝ったあと奥の間でアフターヌーンティーセットを振る舞われた。デザートを食べ終えるころにカーテンから現れたのはノエルと同じ年頃の3人の美少年。髪の色が見事に赤、青、緑と三原色に分かれている。3人ともウェイターの格好をしていた。

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 赤い髪の少年はノエルを見ると顔色を変えた。

「ようこそ!サンヨウジムへ!僕たちはサンヨウジムのジムリーダーを務める三つ子です。僕は水タイプを使いこなすコーンです」

 最初に名乗ったのは青い髪の少年だった。丸みを帯びた髪型で片目が髪で隠れている。彼はエレガントに自信満々で話しかけてきた。

「ボクはですね、草タイプのポケモンが好きなデントと申します」

 次に名乗り出たのは控えめな少年だった。おでこが見える黄緑色の髪型で大人しそうな顔をしている。

(ヒュ~♪)

 3人の美少年を前にノエルは心の中で口笛を吹いた。

(どれもいい男じゃな~い♪アイドルになれるくらいかっこいい!食べちゃいたい♡どれにしよっかな~……ん?)

「…………!」

 赤く逆立った髪の少年は黙ったままだった。口をポカンと開けたままノエルを食い入るように見ている。コーンも違和感に気づき、黙っている兄弟に話しかけた。 

「?どうしたのですポッド?お客様に名乗らないと失礼ですよ」
「……れた」
「はい?」 

 ポッドと呼ばれた少年は口をパクパクしていたがようやくしゃべった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!惚れたーーっ!!」
「ええーっ!?」

 デントは叫んだ。コーンはまばたきをした。 

「オレはあああああああああああああ、炎タイプのポケモンでえええええええええええ暴れるポッドオオオオオオオオオオッ!そこの女ああああああああああああっ!特別にオレがつきあってやるうううううう!!」
「は?」 

 ノエルは眉をひそめた。 

「……はあ?なに?あんたナンパしてんの?なんで上から目線なわけ?それにあたしの名前はノ・エ・ル!ノエル・ピースメーカーよ。失礼な奴ね」
「うおおおおおおおおおお!強気なところも好みだああああああああああ!」 

 ノエルの中傷をものともしないポッド。蚊帳の外にいるコーンとデントはのんきにおしゃべりをした。

「これってポッドの初恋だよね?一目惚れしたみたい」
「そうですね。つまり今目の前にいる女性は僕たちの未来の義理の妹……ということになりますね」
「いや、ならないから!」
「タージャ!」 

 ノエルとツタージャはツッコミを入れた。ツタージャにいたっては頬をふくらませている。

(げっ。かっこいいと思ったけど前言撤回。やっぱ3人ともないわ。特に赤毛の男) 

 赤毛の男は兄弟の声もノエルとツタージャの声も聞こえずそのまま叫び続けた。 

「……その顔!……髪型!……服!胸!脚!うなじ!全部好みだあああああああああ!特にいいいいいいいいいいいいそのケツがあああああああああ素晴らしいいいいいいいいい!」

「ええーっ!?」

 ノエルは思わず両手でお尻を押さえた。ツタージャはノエルを守ろうと盾になった。

「ナイスおケツーーーーーーー!!」

 コーンはポッドの発言にうんうんと頷いた。

「たしかにいいお尻だね」

 デントは少し唸った。

「でも胸はタッチを加えないと……」
「うっさい!この草食系男子!貧乳で悪かったわね!あとそこのスイーツ男子もお黙り!」 

 ノエルはコーンをビシッと指差した。

「……スイーツ男子?」
モンブランみたいな頭してスイーツじゃない!」

「……モンブラン?」

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「なんかうねうねしててむらさきいものモンブランみたい」

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「タージャ!」 

 ツタージャまで「そうだそうだ!」と言っている。

「この僕が……モンブラン?」

 彼女の発言に傷ついたのかコーンはブツブツつぶやき始めた。デントは苦笑していた。 普段は女の子にちやほやされているコーンがバカにされたからだ。

「うおおおおおおおおおお!貧乳萌えええええええええええええ!」
「お黙りこのトウガラシ男!」 

 ポッドは黙れと言われて黙るような男ではない。愛で暴走した男は止まらない。

「大丈夫だああああああ!オレが大きくしてやるからああああ!」
「なに言ってんのよスケベ!」

 ノエルの顔が赤くなる。彼女にとってこんな屈辱は初めてだった。カノコタウンで数々の男子を虜にして好き放題やっていたのにサンヨウシティに来てから自分の思い通りにならない男と出会ってしまった。それも2人目だ。おまけにポッドという熱血漢は自分のことが好きなのに上手く操れない。小悪魔の彼女にとって屈辱的だ。

「うおおおおおおおおおお!10年に1度の尻ーーー!!お・ま・え・の・プ・リ・ケ・ツ・萌・エ・ルー・ワ!!」

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「いやああああああああああああああ!!」

 ノエルは恥ずかしさと恐怖で泣きそうだった。バッジなんてどうでもいいからジムを出よう…………そう考え始めた矢先なにかがポッドに向かって飛んだ。

「タジャッ!」 

―ペシッ。

 ポッドの顔面にツタージャのしっぽがたたきつけられた。自分のご主人さまが辱しめられたことに我慢ならなかったのだ。 

「ツ、ツタージャ……」 

 ツタージャはすぐさまポッドから離れるとしっぽを手で払った。まるで汚いものに触わってしまったかのように。

「ツタタ~」

 ツタージャはピトッとノエルの脚にくっつく。

 3つ子はあっけにとられていたがポッドはすぐ復活した。

「……そうだったな。ノエルはポケモンバトルをしにきたんだったな……」 

 顔を押さえながらポッドは少し冷静になった。

「イヤッホー!兄弟で1番強いオレ様と遊ぼうぜ!!そのかわり勝ったら…………勝ったらスマホの電話番号を教えてくれえええええええええええ!!」 

 少しはクールダウンしたが根っから熱血なのかまた熱くなってしまった。

スマホなんて持ってないし!」
「じゃあライブキャスターの番号を教えてくれ!」
「うっ……」

 ライブキャスターは腕時計型の通信機だ。時間も教えてくれるしテレビ電話もできる。近くにいるトレーナーと簡単なコンタクトを取ることもできる。ノエルはアララギ博士からポケモン図鑑とセットでもらったのだ。

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「い……いいわよ!そのかわりあたしが勝ったら食事代タダにしてよね!」
「それくらいお安い御用だあああああああああああああっ!」
 ポッドはボールを投げた。現れたのは火を噴くサルだった。顔の上半分と体の下半分はポッドと同じ髪の色だ。頭にはふさがあり、耳からはオレンジ色の毛が生えている。挑発的なニヒルな笑みに腹が立つ。 

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「タージャ……!」
「バオ~ップ……」

 ノエルの顔に汗が浮かぶ。ツタージャは歯を剥き出しにして怒っている。

(この勝負……負けられない……!)

 昼食を食べにきたつもりが、ノエルのほうが食べられそうになっていた。

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