ミライ先生の日直日誌

~Ms.Mirai's Day Duty Journal~

ポケモン小説『海のプラチナ』第10話 デジャヴ

 わたしはポケモン図鑑を胸に抱いた。あぁ、明日からわたしの恋の冒険が本格的に始まるんだ……。今日ルクシオにおそわれてから運命の歯車はすでに動き出している。どの服持っていこうかなぁ?わたしロングヘアーだからシャンプーとリンスとドライヤーも持っていかなきゃ。でも荷物多すぎると困るし……。都会にはコウキくんよりかっこいい男の子いるのかな?でもどんなにステキな男の子でもアキラには敵わないかも。ジュンは論外ね……。

「うむ。差し入れありがとう。うまかったぞ」

 旅立ちのことを考えていたら博士に現実に引き戻された。やだ。みんなのまえで乙女チックワールドに入っちゃった。

「おお、そうだ。コウキ、ヒカリにトレーナーが利用する施設を案内してやってくれ」
「はい」

 わたしとコウキくんは博士の部屋をあとにした。

 

***

 

 廊下を歩きながらわたしは博士の言ったことについて考えた。トレーナーの利用する施設と言ったらポケモンセンターとフレンドリーショップかしら?ポケモンの病院とポケモン関連の道具を売るお店。それくらいわかってるのに。博士もコウキくんもわたしのこと初心者扱いしすぎだなぁ。独学とはいえポケモンの知識はそれなりにあるのに。

「ボクも博士に頼まれて図鑑のページを埋めているんです。だからヒカリさんとは同じ目的の仲間になります。あとで色々教えてあげますね」
「うん」

 たぶんすでに知ってることを教えるんだろうけどコウキくんとゆっくりできるからいいかな。コウキくんやさしいしマナーも知ってるから彼氏にしたらすてきかも……。しばらく2人で歩いていたら入り口で男性の研究員に会った。

「こんにちは。コウキの父です。君がヒカリさんですね。フローラのように美しいと聞きましたがどうやら本当みたいですね」
「えっ!?」

 いきなりメガネをかけている研究員に話しかけられてびっくりした。ハマナさんもメガネかけてるし研究所ってメガネ率高いわね……。それにしてもフローラ?フローラってたしか花の女神?コウキくんいつのまにお父さんにそんなこと言ったの?

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ナナカマド博士を手伝う君のことも手伝いましょう!あと、僕のことを『お養父さん』と呼びたかったらどうぞ♪」
「えぇっ!?」

 ストップ!この歳で『お養父さん』って気が早いよ!わたしたちまだ12歳だよ!ジュンパパでさえ『お養父さん』と呼んでくれ、なんて言わなかったのに!

「ハハハ。これからもよろしく頼みますよ」

 コウキくんのお父さんは笑いながら私とコウキくんの背中を押した。う~ん……コウキくんを運命の相手と決めるには早すぎるなぁ……。

「女の子をからかってはいけません」

 わたしたち3人はビックリした。いつまのかハマナさんがコウキくんのお父さんの背後にいたから。でもコウキくんのお父さんはすぐ気を取り直した。

「冗談じゃないですよ~。本気ですよ~」
「それじゃあなおさら困ります。ヒカリさんがかわいそうです」
「わかったわかった」

 コウキくんのお父さんはハマナさんに小言を言われながらわたしとコウキくんを見送った。


***

 

 研究所を出たら今度は博士に呼び止められた。

「ヒカリ!」
「「!?」」

 なに!?忘れもの?それともジュンのことについて文句を言われるとか…。

「いいものがあった。これも持っていくといいだろう!」

 わたしは博士から小さなディスクの入っているケースを受け取った。これってCD?まさかポケモンをリラックスさせる効果があるとか?でもなんか違う気がする。もっと役に立つもの……。

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「これは?」
「それは『恩返し』の技マシンだ。技マシンを使うとポケモンに一瞬で技を覚えさせることができる。使い捨てだがな」

 改めて手に取ったディスクを見た。CDのようなディスク。見たところ普通のCDと変わらない。CDにもラベルにもきちんと『技マシン27 恩返し』とプリントされてあった。これが技マシンか~。教科書にはポケモンの頭にくっつけて技を覚えさせる道具と書いてあったからもっと機械っぽいものを想像していた。本物は初めて見るなぁ。

「『恩返し』はポケモンが君になつけばなつくほど威力が強くなる技だ。もちろん技マシンを使うかどうかは自由だ。では楽しい旅になるよう私も祈らせてもらうぞ」

 用事が済むと博士はさっさと研究所に戻った。

「博士技マシン持っていたんですね……博士も若いころはポケモン勝負とかしてたのでしょうか?」
「さあ……」

 博士の若いころの姿なんて想像できない。おじいちゃんおばあちゃんの昔の姿ってギャップが大きいし……。

「ヒカリさん、町の施設について僕が色々教えてあげますね。ついてきてください」

 コウキくんに差し出された手を当たり前のように握った。

 

***

 

 博士から大事な使命を与えられてしまったわたし。今はコウキくんからこれからの旅に必要不可欠な施設の案内を受けていた。コウキくんと手を繋ぎながら。よく考えたらジュン以外の男の子と手を繋ぐのは初めてかもしれない。幼稚園のお遊戯は別にして。ジュンにはいつも引っ張られているけど、コウキくんはわたしと歩調を合わせてくれた。ジュン以外の男の子と手を繋いでドキドキするのは罪ですか?

 気がついたら研究所が小さく見えるくらい離れていた。連れてこられたのは赤い屋根の丈夫そうな建物。他の建物よりひと回り大きい。屋根以外の部分は白いレンガで造られている。…………どこかで見たことある気がする。フタバタウンにはこんな建物ないのに。

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「この建物はポケモンセンター。戦って傷ついたポケモンを元気にしてくれる場所です。災害があったときはここに非難するそうです。ポケモンセンターはほとんどの町に配置されています」
「ふーん」

 わたしの町にはポケモンセンターなんてない。ってことは緊急時はマサゴタウンまで行かなきゃいけないのかしら?……最悪。フタバタウンって本当に田舎!でもまあ、このさき避難するほどの大災害なんて起こるとは思えない。ニュースなどで見る限り、この世界は平和そのものだもの。

 ポケモンセンターの角を曲がらずさらにまっすぐ進むと青い屋根の建物が見えてきた。白いつるつるのレンガで造られている。ポケモンセンターよりモダンでオシャレな感じ。…………変ね。この建物も見たことある気がする。本やテレビとかじゃなくて、実物を。

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「こちらはフレンドリィショップ。色んな道具を買ったり売ったりできるお店です。モンスターボールも買えますよ」

 どちらの施設も重宝しそう。このさいデジャブの件は置いておこう。

「ボクの家はポケモンセンターを曲がったところにあります。この町の南口には海があるんですよ。見に行きますか?……」

 海……その単語を聞いただけでゾクッとする。お昼に食べたパスタがのどまで上ってきた。気持ちわるい。吐きそう。本物の海なんて見たこともないし見たいとも思わない。おぼれたことなんて一度もないはずなのに、やっぱり怖い。ポケモンの生態調査のためには海も渡らなきゃいけないの?イヤ……。

「大丈夫ですか?」

 っ!?コウキくんが私の顔を覗いてきた。いつもの私ならドキドキするところなのに、そんな気分じゃない。

「顔色が真っ青ですよ。家まで送りましょうか?」

 そんなに顔色悪いのかしら?でも言われてみればなんだかふらふらしてきた…。急にクラッときて足元がふらついた。体が後ろに傾いたらコウキくんが支えてくれた。

「その様子ではフタバタウンまで持ちませんね。ボクの家で休んでいきませんか?」

 時計に目をやったらもうすぐ4時だった。もうちょっとマサゴタウンにいてもいいかも。休めるならどこでもいいや……。

「ええ。そうさせてもらうわ」

 私は力なく微笑んだ。コウキくんの家ってどんな家だろう……?

 

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