ミライ先生の日直日誌

~Ms.Mirai's Day Duty Journal~

ポケモン小説『白黒遊戯』 小悪魔ノエル

「知ってる?ノエル。女の人って実は男の人より賢いのよ。だからあなたも上手く男の人を利用して幸せになりなさーい☆」

 ノエルがアララギ博士に引き取られ、1番最初に教えられたことがそれだった。

 

『小悪魔ノエル』

 

「や~ん!これかわいい~♡ねえねえ、この指輪買ってぇ~♡」

 店の前に2人の若い男女が立っていた。茶色いポニーテールの女の子が男の子の腕にからみついている。2人ともオシャレな服を着ているところからおそらくデート中だろう。男の子は照れながらも指輪を買うことを迷った。空いている手で頭をかいている。 

「う~ん……でも30ドルもするよ」
「ねえ~マイケル~。お願~い。一生大切にするから買ってぇ~♡」 

 お尻をふりふりしながら猫なで声で話す女の子はおねだり上手だ。まだ15歳くらいなのに小悪魔ガールを究めている。

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「これ買ってくれたらマイケルの願い1つだけ叶えてあげるぅ~♡」
「本当っ!?」 

 素直なマイケルは反応した。彼は慎重に言葉を選びながら訊ねた。 

「えっと……それって……どんな願いでもいいの?」 

 女の子はあごに人差し指をそえた。

「願いにもよるけど~、なるべく叶えてあげたいなぁ~……って思うの♡」

 上目づかいでマイケルを見つめる女の子。並みの男の子なら悩殺できるレベルだ。そして女の子にとっては幸運なことにマイケルは顔も中身も並みだった。……もっとも、日本人にはかっこよく見えるかもしれないが。 

「じゃ、じゃあ買っちゃおうかな……」

 それを聞いて女の子の目が輝いた。 

「や~ん!マイケル大好きーー♡」 

 女の子はマイケルの首の後ろに腕を回した。彼の胸に頬ずりをする女の子は猫そのものだった。 

 ところが2人の交渉が設立したのを合図に笛がけたたましく鳴った。

「こらーー!そこにいる男女!そこまでだーー!」

 メガホンのせいで声が大きく広範囲に聞こえる。街角から狙ったように現れたのは黒髪の男の子だった。

 

***

 
 場所はアクセサリーショップから公園へ移った。さきほどまで品物を見定めていた男女はベンチに座らされている。黒髪の男の子は黄色いメガホンをぽんぽんと叩いた。獲物をどう調理するか考えているのだろうか。眼鏡の奥で釣り目が光っている。

「不純異性交遊禁止!」

 マイケルの肩が震えた。だが女の子は少しもひるまず軽口をたたいた。

「いいじゃない。デートくらい。チェレンは固いわね~」
「うるさい!ノエルが軽すぎるだけだ!」

 黒髪の少年、チェレンは全く反省していないノエル―茶髪の小悪魔ガール―を叱った。

「不純だ!不純すぎる!マイケルはエッチできるかもという不純な理由でノエルをデートに誘った!」

 ギクッとマイケルの肩は上がった。どうやら図星のようだ。 

「そしてノエルはマイケルを財布代わりにしようという不純な理由でOKした。……絶望した!不純な男女に絶望した!
「もう帰っていい~?」

 

 ノエルはあくびをした。反省する気0だ。

 

「ああいいだろう。今日のところは見逃してあげよう。寄り道しないようにノエルは僕が送る。マイケルもさっさと帰りたまえ」
「えっ」

 マイケルはあっけにとられた。勇気を出して誘ったファーストデート。だがその努力もむなしくチェレンによって強制終了させられてしまった。チェレンが歩き出すとノエルは彼についていった。マイケルは1人寂しく公園に残された。
 チェレンとノエルは帰る途中に自動販売機に寄った。ノエルがデートのキャンセル料を要求したからだ。チェレンは文句を言いつつもカルピスをおごった。自分用に買ったコーヒーを飲みながらチェレンはため息をついた。

「まったく……好きじゃない男とデートしちゃ駄目じゃないか。もてあそばれる男たちがかわいそうだ」
「自業自得でしょ。騙されるほうが悪いって」
「襲われたらどうする?」
「アハハッ。それ本気で言ってるの?」

 ノエルはケラケラと笑う。あの男をバカにする笑い声は間違えなく小悪魔だ。

「そんなことするやつはいないわよ。だって」

 なにかがつぶれる音がした。ノエルの持っていたアルミ缶が前触れもなくつぶれた。未開封だった缶から白い液体が流れる。

「あたしに敵うはずないじゃない」

 チェレンは頭を押さえた。どうやら彼は飲み物をもう1本おごるはめになりそうだ。

 


 

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